アトピー生活

アトピー性皮膚炎とのなが〜い付き合い

民宿 土佐清水③

アトピー治療の為に泊まり込むことになった民宿は、いかにも民宿らしい建物だった。病院から歩いて10~15分くらいだったか。近くにスーパーなんかもあって、便利な立地だった。


気さくそうな女将さんが出迎えて、建物の案内をしてくれた。
広めの玄関のすぐ右側が8畳くらいの食堂。その奥に調理場と従業員さんの部屋があって、さらにその奥と廊下を挟んだ左側が患者さんの宿泊部屋。だったような気がする。そして左側の奥にはシャワー付きの風呂場もあった。
2階は玄関を入ってすぐ階段があって、登った右側に広いベランダの物干し場、左に学校にあるような石造りの大きな手洗い場があった。細かい間取りは忘れてしまったが、あとは右奥に和式トイレが2つ。どこかに無料の家庭用洗濯機もあった。他は6畳から8畳の患者さんの宿泊室で、2人から3人の相部屋になる。それが6〜8部屋くらいあったろうか。同時期に入所していたのがたしか20人くらいで、少なくとも2階は女性だけの部屋になっていた。


私たちの部屋は二階で、母に気を使ってか8畳間に私と母二人。テレビとコタツがあって快適な部屋だった。布団の上げ下ろし、洗濯は自分たちで。ご飯は朝夕2食付き。メニューは病院の決まりに従ったものが出された。
禁止なのは、コーヒー、チョコレート、ココア、動物性脂質全般(豚鶏牛の肉、バター、チーズなど)、ラーメン、揚げ物、ポテトチップスなどのスナック菓子、青魚(ちょっとは良い)など。痒みを誘発する物質や、活性酸素と結び付き肌の保湿性を奪う脂質を含んでいる、という理由から。


※ つい先日実家で、土佐清水病院を開設した丹羽靱負(耕三) 医院長が書いた 丹羽博士の正しい「アトピー」の知識 (1997年初盤)という本をようやく(!)自分で読んだ。丹羽医師の研究に基づく、アトピーのしくみ、独自開発した薬の成分とそれがどう作用するか、食べちゃいけないものがどうアトピーに影響するかなどについて書いてあって、今更ながら「はぁー、そういう仕組みなんだ」と思った(最新のものは多少情報が変わってるかもしれません)。

それでふと思ったのが、牛鶏豚肉がダメということだけど、馬や鹿、その他鴨猪熊なんかもやっぱりダメなのかなあ。とにかく脂が良くないみたいで、牛肉の赤い部分ならたまにはOK (アトピーが酷くなければ) ということだから、馬や鹿なんかはたまにはOKの部類かもしれない。以前熊鍋を食べてこれがまあ美味しいかつ脂がすごくて、その脂がトロリと上質な感じでいくらでも食べれそうな具合だった。上質な脂でもやっぱりダメでしょうかね。そしてさらには、鯨は…? 哺乳類だからやはりダメなのか。と思いながらも鯨ハムを買って、マスタードマヨネーズで食べたら大変美味しかった。


再び時を二十数年前に戻します。
荷物をほどいて一息つくと、すぐ夕食の時間になった。民宿の食事は品数豊富で美味しくて、やはり大豆で作った肉(風のもの)や、パン粉を付けてオーブンで焼いたコロッケなどアイデア料理が出た。たしかアトピーの人でも食べられるレシピを、病院でも紹介していたんだと思う。海が近いため魚介類も豊富で、その充実したメニューにホッとした。食事制限のために貧しい食生活になるのではと怯えていたが、案外やっていけそうだった。


夕食の後、着替えやタオルを持って初めての処置に出かけた。