アトピー生活

アトピー性皮膚炎とのなが〜い付き合い

進行

じわじわと症状が悪化していき、小学3年生頃には常時痛々しい外見になってしまった。

全身カサカサでブワブワに厚くなった皮膚が赤みを持ち、皮は落ちるし時に黄色い汁も出る。顔も爛れたように赤くなり、道すがら近所の人から「かわいそうかわいそう」を浴びるように。

 

肌のケバ立ち(カサカサ)が酷かった為、どういう経緯で始めたのか忘れたが、朝起きたらまずは新しめのパリッとした軍手で全身のカサカサをこさぎ落としていた。

いま思うと絶対肌に良くない。もしかしてそのせいで酷くなったんじゃなかろうか…。親もそう言ってやめるよう促したが、この表面に浮いたカサカサがどうにも気持ち悪くてムズムズして、やらずにおれなかった。落ちた皮を集めて小山にして、達成感すら感じていた(もちろんちゃんと捨ててました)。

 

この年の夏、前の家から100mも離れていないところに引っ越した。

風呂場には、前の家には無かったシャワーがあったがなぜか水しか出ず(直そうともしなかった)、こさいだあとは大バケツにお湯を溜めてもらって、たらいの中でお湯浴びをした。そして保湿剤のワセリンと薬(ステロイド)をつける。

乾燥が酷く、朝晩薬をつけないとパリパリでたまらなかった。朝は母、母が夜勤でいないときは祖母、夜の風呂後は父が薬つけをしてくれた。

 

顔も掻いてめくれて汁っぽいやら乾燥やらでひっつってはいたものの、割と元気に過ごしていたと思う。

学校では、算数が苦手で国語と図工が得意だった。男女関わらず良く遊んでいた。

兄とも仲が良く、家に帰るとテーブルの上で息だけでピンポン玉を打ち(?)合うフーフー卓球や、欄間をゴールにしたボール投げ(土壁を破壊してよく怒られた)など、自分たちで遊びを考え出して楽しんでいた。

父の影響で漫画が好きで、当時は幽遊白書SLAM DUNKダイの大冒険など名作が目白押しだったから、夢中になって読んでいた。ジョジョも単行本が出るたび父が買い揃えていたが、幼い私にはあの絵が気持ち悪く思えて手をつけなかった。高学年くらいになってから暇さのあまりに読み出したら面白くて(絵もうまい)、しまったと思った。

 

アトピーの方に話を戻します。

夜の風呂が大変で、これはもうカサカサをこすり落とす作業。

このくらいから風呂は一人で入っていて、お湯に浸かってふやけた肌を手のひらで擦ると、消しゴムのカスみたいなのがボロボロとめどなく出てくる。これをあらかた擦り落とすと肌がピカピカになり、薬の浸透も良くなるのだ。擦り落とさずに皮膚がケバだったままだと、薬が浸透しないし痒みも出た。

(ただ長く続いたこの擦り癖のせいで、ずいぶん後になってから酷いことになった…)

全身擦り落とすのに1時間半、2時間…と、どんどん風呂の時間が延びていった。

 

それで夜布団に入ると温まってなのか何なのか必ず全身痒くなる。毎晩のように父に背中を掻いてもらって、「まだや」と聞く父を「もうちょっともうちょっと」と拘束した。

私が寝てようやく父は自分の部屋で、本棚いっぱいに集めた本を読みだす。

この時父が40歳。毎日働いて、帰ってきてからやりたいこともたくさんあったろうに、と思えるようになるまで、この時から10年以上かかった。