アトピー生活

アトピー性皮膚炎とのなが〜い付き合い

食について

両親は、とにかくアトピーの原因と考えられるものを排除しようと頑張ってくれた。

 

その最たるものが食事。野菜は無農薬、魚は天然物、肉は国産で出所が確かなもの、卵は有精卵、加工食品や調味料は添加物・化学調味料なしのもの。

当然値が張っていたわけで、いまから考えると贅沢な食生活だったわけだが、当時は特に市販のお菓子ジュースやインスタントラーメンもダメ!な生活が不満だった。

 

 友達の誕生日パーティーなんかに行くと、宅配ピザからポテトチップス、真っ赤なウィンナーやらコカコーラにファンタと、見目も煌びやかでカツーンとくる化学調味料や大量の砂糖の味がタマらなかった。そして家に帰って「買って買って!」を連呼するのだが、一蹴されるのが常。

 

我が家では、食材から調味料お菓子まで、基本的にグリーンコープという西日本で展開している生協団体で注文していた。産直、添加物不使用、遺伝子組み換え作物もできるだけ使わないというような、安全な食品の販売や商品開発を行っているらしい。

 

グリーンコープではウィンナーも着色料・発色剤なしで、これは肉の味わい豊富でむしろ美味しかったが、お弁当に持っていくと友達から「色が悪い」と謗りを受けた。プリンやグミ、クッキーなんかのお菓子は、当時はその自然な味わいに市販品と比べて物足りなさを感じていた(ドカッとした甘さに飽きた今は美味しいと思う)。マヨネーズやケチャップは酸化しないように瓶入りで、よその家のチューブ入りに無駄に憧れを抱いたりもした。

グリーンコープでの注文では無かったが米はずっと胚芽米で、これがまたお弁当で友達のご飯が白くツヤツヤしているのになんでこんなに茶色いの?という、周りと違うことに敏感な子供時代には辛いものだった。今調べると白米より高いみたいで、もっと胸を張っても良かったのかもしれない。

 

魚や肉、食材の買い足しにスーパーも使っていて、母と一緒に行った時、「これ買って!」と言うと必ず裏面の原材料チェックが入る。

そして、「これはこういう害こっちはこう…」と添加物の説明が始まる。またそれか…と言葉が出ない私を見て、母は「あんまり色々言っても覚えられんばいね」と解釈し、「原材料の少なかとば選びなさい。カタカナがいっぱい書いてあるとはダメ」と締めくくる。

学習した私はそのうちお菓子なんかの裏面を見て「これならどうだ、少なかろう」とアタックするようになったが、優秀なものでも大概一つや二つ「あー、これが無ければねえ」というのが入っていて、ほとんどが母の検閲を突破できなかった。

 

仕方ないからお小遣いで隠れて食べたり、婆ちゃんの買い物について行って「こないだお母さんが買ってくれたやつだから大丈夫」とそそのかして食べたりしていたが、やはり教育の力は絶大で、どこかで "体に悪いもの"という意識は拭えなかった。

 

そして小さい頃にインプットされたことは聞いていないようでよく覚えていて、一人暮らしを初めてからも、買う前に必ず原材料はチェックしている(その上で「ちょっとくらいいいか」はしばしばあるけれど)。

その上いまとなっては、「いま住んでる場所でもグリーンコープの注文ができたらいいのに…」と思うまでに成長(?)した。何より、親がかけていたお金と手間と心遣いが、ようやく理解できるようになったのだ。

一方、同じく厳しい食品統制を受けていた兄は全く逆に振れて、一人暮らしとともに " 全く何も気にしないで何でも食べられる生活 " を謳歌している。