アトピー生活

アトピー性皮膚炎とのなが〜い付き合い

毛抜き

同居の祖母によく頼まれていたのが、逆まつ毛抜き。

普通まつ毛が生えている位置よりずっと内側(眼球側)にまつ毛が生えて、目を突いて痛いらしい。1〜2ヶ月ぐらいの間隔だったか、べろっと瞼をめくった裏側の毎回違う場所に、多い時は同時に3本くらい生えていた。祖母の目では見えないらしく、頼まれては毛抜きでつまんで抜いていた。

毛を抜く時、ポリッと良い手応えで半透明の塊が取れる(抜いた毛の毛根についてくる)のが楽しくて、はて、自分の手足の毛でも取れないかしらと思い至った。そしたら、取れる取れる。

 

いま書くに当たって、この半透明の物体は結局何なんだと調べたら、どうも毛根鞘(もうこんしょう)というもののようだ(たぶん)。

毛根鞘とは、体毛と皮膚を固定するために毛根を包んでいる組織だそうだ。昔調べても情報が出てこなくて(検索能力の問題?)、結局毛根なのかと思っていたが、それにしては大きかったり長かったりプルプルしていたり、色んな形がありすぎて腑に落ちていなかった。

 

この毛根鞘、アトピーの酷い箇所からは特によく取れる。

炎症を起こしたりジュクジュクめの肌からは、ほとんど抵抗なくヌッと抜けて(このヌッがまた楽しい)、滑らかで柔らかめの塊がついてくることが多い。ぶわぶわに厚くなった肌からはボリッと手応え良く、大きいのやいびつな形のものが取れた。

この塊が毛穴から抜ける時の見た目と手応えがたまらなくて、ひだまりの中で一心不乱に毛を抜くようになった。

アトピーの酷いところから良く取れるため、「悪いものが出てるんじゃないか」という気持ちにもなる。当然そんなことはないし、そう信じていたわけでもないが、おまじないのようなものというか。

痒い肌から毛を抜くと良い刺激にもなって、「もう良い加減やめよう」と思うがなかなか止められない。あと100本毛を抜いたら、あと良い塊が10取れたら…などと思いながらも時間さえあれば毛をむしり、そうだ、夜は電気スタンドだ!と閃いて夜も毛をむしり、手の届く限り体や顔のうぶ毛をむしって、とうとう眉毛まで無くなってしまった。

 

どうも世間には抜毛症と言われるものがあるらしく、ストレスによるものが多いみたいだが、中にはこの毛根鞘が抜けるのが楽しくて頭髪を抜いてしまう人がいるらしい。

さすがに私は頭髪まではいかなかったが、そういうネットの情報を見て、自分も抜毛症だったんだろうな…と思った。他にもやっている人がいると分かって、なんだか嬉しいような安心するような気持ちになった。

 

いまはそこまで時間は割かないが、それでも体毛を抜くのは日課で、家に帰って来てまず毛を抜くのが私の "一息つく時間" だ。うぶ毛を抜く分にはムダ毛処理も兼ねていいと思う。アトピーが酷いところは楽しく処理がはかどるから、1日ごとに局所的に酷いところが移動して、ムダ毛処理が全部済んだ頃に酷いところが無くなればいいのにな、なんて考えている。